プログラム

特別講演1 落語から学ぶ 〜 つながるコトバ 〜

三遊亭 楽生(さんゆうてい らくしょう)

師匠     六代目 三遊亭 円楽
出囃子    元禄花見踊り前弾き
出身     埼玉県さいたま市岩槻区
最終学歴   埼玉県立春日部高等学校

抄録

落語家三遊亭円楽の弟子で三遊亭楽生と申します。

人前で話をすることが得意だと言い切れる方って少ないと思います。
19歳で入門した当時、失敗ばかりでしたが、なんとか現在は人前で話すことを生業として生活しております。

本講演では、「つながるコトバ」と題しまして、師匠から教わりましたことを基に話し方についてお伝えできればと思います。

皆さんが人前で話さなければならないとき、前日に何をされてますか。台本作りをしそれを覚えるという方が多いと思います。落語というのは、台本はありませんが、師匠から教わった噺を覚えます。ところが、師匠が演じるとたくさんの笑いが生まれるのに、自分が同じ噺をするとウケないということがあります。一言一句覚えたはずなのにウケないのです。落語は覚えただけではいけないということを教わります。覚えるだけでなく、噺には間が必要であり、抑揚が必要であり、さらにはお客さまに絵を想像して頂けるように話さなければなりません。

落語は何を話すのかだけではなく、誰が話すのかによって価値が変わってきます。
売れてる芸人、売れない芸人の差がどうしてもできてしまいます。
これは先生方が患者さんとお話しするときにも当てはまるのではないかと思います。
伝えなければならない内容が一緒でも、ある先生は患者さんといい関係ができている、でもあの先生は…。
何が違うのでしょうか。

話す内容も大事ですが、どう伝えるかも重要となってきます。本講演では構成する力、伝達する力が別々であると、伝達する力を伸ばすために、プラスを増やすマイナスを減らす、を掘り下げて参ります。

①台本の構成、落語家の起承転結のある話の作り方
②伝達する力を伸ばすためのマイナスの削り方
③伝達する力を伸ばすためのプラスの増やし方

略歴
1997年4月 6代目 三遊亭 円楽(三遊亭 楽太郎)に入門し、「楽花生」
2001年3月 同名のまま二つ目昇進
2006年6月 中国語習得のため中国留学(上海東華大学、北京語言大学)
2007年7月 留学を終え中国から帰国
2008年3月 「楽生」と名を改め真打昇進

笑点でお馴染み6代目三遊亭円楽の総領弟子。
日本橋社会教育会館にて独演会を開く他、定期的な勉強会を国内外で精力的に開く。

本格的な古典落語を演じ、声量の豊かさとメリハリの利いた高座が特徴。
二つ目昇進後、中国語習得のため、一年間中国に留学(上海東華大学、北京語言大学)。
帰国後、中国はもとより、ヨーロッパ各地で落語を演じる。

上智大学(非常勤講師)、埼玉応援団団員(埼玉県観光大使)、さいたま観光大使(さいたま市観光大使)、幸手市しあわせ応援大使(幸手市観光大使)、ルーピン大使(鹿児島県東串良町観光大使)、全埼玉私立幼稚園連合会(特別講師)、埼玉県立与野高等学校(評議員)

現在の出演番組
・SWEET! Friday  Edition (2020- ラジオ日本)

過去の出演歴
・小町テレビ (2010-12 日テレG+)
・彩の国ニュース ほっと(2011-16 テレビ埼玉)
・魅力まるごと いまドキッ!埼玉(2017-20 テレビ埼玉)
・三遊亭楽生のラクショー歌舞伎(2016-17 歌舞伎イヤホンガイド)
・東京下町小町 ナレーション(2017 JCOM)
・Hello! I, Radio(ラジオ日本 2017-20)
・ジモト応援!つながるNews(2020-2021 JCOM埼玉)
・ウチの子、ニッポンで元気ですか?(2019 TBS)
・ウチくる!?(2013 フジテレビ)
・エネルギーの未来(2013 BS日テレ)
・笑点(2008 日本テレビ)
・まるっとスマイル春日部・岩槻(2020-JCOM埼玉)
・Be Happy!(2021- FM FUJI)

参考 
・牛ほめ https://youtu.be/BljE7vLS2HI
・たがや https://youtu.be/Dk59a42fa4Q
・Twitter  https://twitter.com/rakusho_3ut
特別講演2 隠れたつながりを解き明かす:不定愁訴に潜む先天代謝異常症

志村 優(しむら まさる)先生

千葉県こども病院 代謝科

抄録
 私が専門とする先天代謝異常症の外来では、主に新生児マススクリーニングやライソゾーム病などを対象としたオプショナルスクリーニングで精密検査が必要となった症例の診療を行う他、原因不明の低血糖、高アンモニア血症、高脂血症などの検査値に異常を呈する症例、多臓器に症状が出現するミトコンドリア病などの先天代謝異常症が疑われる症例などの他に、原因不明の四肢疼痛、頭痛や倦怠感、運動不耐などを主訴として紹介されてくる症例も多い。これらの不定愁訴を訴える症例では、複数の医療機関で多くの検査をされるも原因が特定されず、一度は心身症が疑われた経験を持つことが少なくない。本講演では、当院でこれまで実際に経験した症例をもとに、不定愁訴を呈する症例において先天代謝異常症を見逃さないために注意してほしいポイントを紹介させていただく。

 不定愁訴を訴える比較的頻度の高い疾患として、低ホスファターゼ症とFabry病を多く経験する。低ホスファターゼ症は、重症例では周産期から典型的な骨症状を呈するため、あまり診断に苦慮しない。しかしながら軽症の小児期・成人期発症例では疼痛、倦怠感などの非特異的症状を呈する例もあり、診断が困難な場合がある。Fabry病は近年新生児スクリーニングで発症前に診断が可能となってきた疾患である。Fabry病は成人では脳梗塞、腎不全、心筋症を引き起こすことがよく知られているが、小児期には四肢疼痛、腹痛、倦怠感を初発症状とすることがあり、学校や医療機関で心身症を疑われることも少なくない。

 不定愁訴を呈する先天代謝異常症の中には、すでに酵素補充療法などの特異的治療法が確立されており、早期に治療を開始することで予後の改善が期待できる疾患もある。不定愁訴を持つ患者さんを診療する際には、一度は先天代謝異常症の可能性も考慮し、専門医に相談していただければ幸いである。
略歴
【学歴】
2007年3月 東京医科大学医学部医学科 卒業
2017年11月 東京医科大学大学院医学研究科 博士課程修了
2018年1月 東京医科大学大学院医学研究科 博士号(医学)取得 

【職歴】
2007年4月〜 2009年3月 東京医科大学病院 初期研修医
2009年4月~ 2011年11月 東京医科大学 小児科学講座 臨床研究医
2011年12月~ 2012年5月 日本赤十字社医療センター 新生児集中治療部 医員
2012年6月~ 2014年5月 東京医科大学 小児科学講座 臨床研究医
2014年6月~ 2020年10月 千葉県こども病院 代謝科 医員
2020年11月~ 2023年3月 ヘルムホルツセンターミュンヘン ニューロゲノミクス部門 客員研究員(日本学術振興会 海外特別研究員)
2023年4月~ 現在 千葉県こども病院 代謝科 医員、東京医科大学小児科・思春期学分野 非常勤講師

【受賞歴】
1. 若手優秀演題賞(第61回日本先天代謝異常学会)2019年
2. 若手最優秀演題賞(第58回日本先天代謝異常学会)2016年
3. 若手優秀演題賞(第43回日本小児栄養消化器学会)2016年
4. ベストポスター賞(WCPGHAN2016)2016年
5. JCRトラベルアワード(第57回日本先天代謝異常学会)2015年
6. トラベルアワード(The 4th Asian Congress for Inherited Metabolic Diseases)2015年  
教育セミナー  つなげる見立て、つなげる薬物療法

押淵 英弘(おしぶち ひでひろ)先生

東京女子医科大学 精神医学講座 准教授 

抄録
 児童と思春期のこころの治療における小児科と精神科との連携について、精神科医の立場から3つのポイントに絞って考察したい。

 1つは背景となる医療技能の差について、
 2つ目は診断と病態の不一致の問題について、
 3つ目は連携に際してのタイミングやコミュニケーションについてである。

 医療技能の差は歴然としており、精神科医は乳幼児を診察する機会はほとんどない。また、児童に限らず、身体の疾患に伴う精神症状を十分に経験している精神科医師も(多分小児科医師の想像するほどには)多くない。診断と病態の不一致は、つまり症候学的な診断の場合に、小児科、精神科に限らず、疾患の診断における原理的な問題として医療に横たわっていると思われる。

 他方では同一の病態を異なる診断名で診療している場合もあろう。診療科を跨いでの連携については、理想論は容易に語られるものの実臨床上の対策はなかなか難しい、と言うのは小児心身医療に関わる方のうち多くの人が思っていることと推察する。個人的体験も踏まえて議論してご意見を賜りたい。

 移行なのか並行して診療するのか、どのように移行するのか、年齢は、など沢山の課題が含まれている。薬物療法の得意領域も重なる部分と異なる部分があると思われる。精神科医としての薬物療法の考え方も述べたい。

 

略歴
【学歴及び職歴】
2002年3月 琉球大学医学部医学科卒業
2002年5月 内科研修医(東京女子医科大学病院循環器内科)
2004年4月 東京女子医科大学精神医学講座入局
2005年4月 東京女子医科大学大学院精神医学講座入学
2009年3月 東京女子医科大学大学院精神医学講座 博士課程修了
2011年11月 米カリフォルニア大学サンフランシスコ校精神科 客員研究員
2014年11月 東京女子医科大学精神医学講座 助教
2016年11月 東京女子医科大学精神医学講座 講師
2017年4月 地域医療機能推進機構(JCHO)東京新宿メディカルセンター神経科 主任部長
2018年4月 東京女子医科大学精神医学講座 講師
2020年4月 神奈川県立こども医療センター児童思春期精神科
2022年4月 東京女子医科大学精神医学講座 准教授

【免許及び資格】
精神保健指定医、精神科専門医・指導医、医学博士

【学会活動】
日本精神神経学会:会員・専門医・指導医
日本神経精神薬理学会:会員・評議員
日本臨床精神神経薬理学会:会員
日本総合病院精神医学会:会員・特定指導医
日本児童青年精神医学会:会員

【受賞歴】
1. 日本神経精神薬理学会AsCNP発表奨励賞 2015年
2. 米臨床精神薬理学会 若手研究者賞 2014年
3. 米精神医学会 若手研究会奨励賞 2014年
4. アジア神経精神薬理学会トラベルフェローシップ 2013年
5. 米臨床精神薬理学会 臨床薬理研究奨励賞 2013年
6. 米生物学的精神医学界トラベルフェローシップ 2013年
7. 日本神経精神薬理学会CINP発表奨励賞 2010年
8. 欧州精神薬理学会 ポスター賞 2009年
9. ドパミンパーシャルアゴニスト研究会 若手奨励賞 2007年
症例検討会
ARFID:「からだ」と「こころ」をつなぐ
司会中村 明雄 先生順天堂大学小児科
症例提示井神 健太 先生順天堂大学小児科
SV(医師)大谷 良子 先生獨協医科大学埼玉医療センター 子どものこころ診療センター
SV(心理士)黒澤 礼子 先生順天堂大学医学部附属順天堂医院 小児医療センター
SV(MSW)原田 なな子 先生東京医科大学病院医療福祉相談センター
トラウマ:今と過去をつなぎ、「これから」につないでいく
司会石田 悠 先生東京医科大学小児科・思春期科学分野
症例提示中村 俊一郎 先生慶應義塾大学病院小児科
SV(医師)宮本 信也 先生筑波総合クリニック
SV(心理士)稲森 絵美子 先生東京医科大学病院小児科
SV(精神看護専門看護師)河野 佐代子 先生慶應義塾大学病院看護部
目次